行政保健師を目指す人にとって、メリットだけでなくデメリットを知ることは重要です。
私自身、行政保健師の仕事を正直「辞めたい…」と思う時があります。
そんな行政保健師の仕事のリアルをお伝えします。
この記事で分かること!
- 「行政保健師を辞めたい理由」
- 行政保健師の「やりがいを構成する要素」
- 後悔しないために考えるべきこと
- おすすめ転職サイト
体験だけなく、文献を元に書いているので、ぜひ参考にしてください!
行政保健師を辞めたい理由|やりがいのなさが1位
日本公衆衛生学会によると、行政保健師を辞めたいと思う理由は以下のようになります。
- 仕事に興味・やりがいを持てない…20.7%
- 体調(心身の健康など)…12.9%
- 職場の人間関係…12.1%
- 給料・待遇…4.9%
①仕事に興味・やりがいを持てない…20.7%
行政保健師の役割は、地域住民の健康を守り、健康増進に貢献することです。
地域保健事業の計画・実施、訪問指導、健康教育などをこなす一方で、以下のような状況があります。
- 行政の方針や予算の制約
- 決まりきった手順に従わなければならない
- 事務的な業務やルーティンワークに追われる
こうした環境では、自分の働きがどれだけ地域に影響を与えているのか、成果が見えにくいこともあります。
個人の裁量が限られ、
効率的なアプローチが難しい場合もあるよ。
②体調(心身の健康など)…12.9%
行政保健師は看護師と比較して夜勤などがないため、心身の健康は保ちやすいと思う人は多いでしょう。
しかし、実際の行政保健師の仕事は、対人業務に加えて大量の事務作業に追われています。
- 年度末の結果・報告のまとめ
- パンデミックなど感染症への対応
- クレーム対応
国からの指針や自治体で定めている長期計画に沿って事業を行っているため、特に年度末には「事業結果をまとめて報告する」ための残業が多くなります。
コロナなどの流行や世界規模で定期的に起こるパンデミック時には、通常業務に加えて部署を超えた応援が必須になります。
担当課だった場合は、
日付が変わるまで残業することも…
また、住民との接触が多く、場合によってはクレームや過剰な期待に応える必要もあるため、心的ストレスを感じることもあります。
③職場の人間関係…12.1%
行政保健師が異動できる部署は限られているため、以下のような方と閉鎖的な人間関係になることが多いです。
- 保健師同士
- 上司や他職員
- 担当ケース
同じ保健師同士で合わない人がいても、同じ部署で働く確率は高いです。
また、上司や他の職員の大半が保健師以外であるため、保健師の活動自体を理解してもらえないなど他職員との関係に悩むことも…
重たいケースへの支援が、
心身の負担になることも。
④給料・待遇…4.9%
行政保健師の給料・待遇は、以下のような特徴があります。
- 年功序列
- 評価が給料に反映されにくい
- 昇進ペースが遅い
福利厚生が充実している一方で、勤務時間や業務内容に対する評価が適切でないと感じることもあるでしょう。
同じ公務員でも、他の職種と比較して地位や役職が上がるのに時間がかかるため、モチベーションの維持が難しいと感じる行政保健師もいます。
効率よく仕事をしている人は評価されにくい仕組みだね。
行政保健師(公務員)辞めたい|やりがいを持って仕事を続けるために大切なこと
「対人援助職におけるやりがい」を研究した論文によると、やりがいの構成要素は以下の8つに分けられます。
- 支援対象者への実践
- 専門性の発揮
- 職場の雰囲気
- 職場の人間関係
- チーム連携
- 待遇
- 私生活と仕事の両立
- 自己成長
①支援対象者への実践|住民からの「ありがとう」
行政保健師のやりがい要素の1つ目は、地域の人への健康教育や訪問など『支援対象者への実践』をすることです。
地域の方から「ありがとう」と言われるなど『対象者の肯定的反応』がやりがいにつながります。
支援対象者から喜ばれる、成長する、関係が構築できたという対人援助職の愛他的な価値観が充足されることから、この構成要素は対人援助職の中核となるものであると言える。
対人援助職における 「やりがい」 の構成概念に
関する系統的レビュー,近藤孝司,上越教育大学研究紀要
『支援対象者への実践』がやりがいを生む中核となるんだね。
②専門性の発揮|スキルを発揮できたという実感
行政保健師のやりがい要素の2つ目は、子どもの成長発達を評価したり、健康診断の数値から改善策を提案するなど、『専門性を発揮』することです。
自分の知識や経験値から判断するため、『スキルを発揮できたという実感』がやりがいにつながります。
自身の裁量で仕事をコントロールできているという感覚だね!
③職場の雰囲気|職場の一体感・建設的な雰囲気
やりがい要素の3つ目は、『職場の雰囲気』です。
現在働いている職場の人間関係や雰囲気が良く,職場に貢献しているということに『職場の一体感・建設的な雰囲気』を感じ、やりがいにつながります。
職場の方針に納得できるなど、所属先との一体感を表しているね!
④職場の人間関係|同僚からの理解や指示・共有
やりがい要素の4つ目は、『職場の人間関係』です。
普段から職場の同僚に理解されている・受け入れられているなど、信頼感があり、一緒に働けることに「やりがい」を感じます。
信頼できる上司や相談できる同僚・頼ってくれる部下などが該当します。
その人のために頑張り、
信頼・受容されることで「やりがい」を感じるね。
⑤チーム連携|チームの一体感・活性度
やりがい要素の5つ目は、『チーム連携』です。
多職種連携や協働を通して効果的な支援ができたというチームでの達成感や、スタッフの間に強い信頼感が作られたという『チームとしての一体感』です。
チーム医療や多職種連携のように、対人援助職にとって重要な業務のひとつだね。
人間関係の充実という点で『④職場の人間関係』と似ているが、『④職場の人間関係』は現在の職場のスタッフであるのに対し、『⑤チーム連携』は職場以外の組織のスタッフも含むことがあるという点で異なります。
⑥待遇|経済的対価・見合った待遇
やりがい要素の6つ目は、『待遇』です。
高い報酬や充実した福利厚生、休みのとりやすさ、残業の少なさなど、仕事に費やす労力に見合う対価があることで「やりがい」を感じます。
自分の評価が数字で現れると嬉しいね。
⑦私生活と仕事の両立|理想の人生設計
やりがい要素の7つ目は、『私生活と仕事の両立』です。
他の構成要素が仕事に限定されるのに対して、私生活を含んでいるという独特な特徴をもっています。
プライベートが充実していることで、仕事への活力が出てくるね!
⑧自己成長|スキル成熟と知識の深まり
やりがい要素の8つ目は、『自己成長』です。
仕事を通して自身のキャリアや知識が深まったことで「やりがい」を感じます。
行政保健師として知識と経験値が貯まることで、
できることが広がるね。
行政保健師(公務員)になって後悔しないために考えるべきこと|転職の軸づくり
「やりがいの構成要素」を見て、今の自分・職場に当てはまらないと感じた人は、「辞めたい」と考えることが多いかもしれません。
辞めて後悔しないために、考えるべきことをまとめました。
転職に関する本を10冊読んで、導き出したよ!
- 転職理由の明確化
- 給料・福利厚生・退職金など現状把握
- ライフプラン
- 自己理解を深める
- 転職の優先順位
1つずつ簡単に説明すると、
なぜ転職したいのか、理由を明確にしましょう。
行政保健師(公務員)の給料や福利厚生などについて、現状を把握しましょう。
結婚や出産、子どもの学費など、将来掛かるお金を見通すため、ライフプランを立てます。
自分の得意なこと、したいことなど自己理解を深めましょう。
転職で叶えたいことは何なのか、優先順位を整理しましょう。
もっと詳しく知りたい方はこちら!
現職を辞めたい人へ|退職する基準
読者さんの中には、「現職が辛すぎて辞めたい」と思っている人もいるかもしれません。
そんな時、現職を退職する基準を紹介します。
職場がブラック|人間関係が悪くパワハラなどがある
職場がいわゆるブラックで、パワハラなどが日常的に行われている場合は退職する基準に該当します。
人間は痛みを感じていても、ずっと同じ環境にいると痛みを感じにくくなり、その場から逃げ出せなくなります。
痛みを感じているうちに
動こう。
体調不良が続いている|朝起きられない・蕁麻疹など
朝仕事だと思うと憂鬱で起きられない、体調が悪く蕁麻疹などが出るなど体に症状が現れているのは危険信号です。
体からのSOSのサインで、早めに休息を取るなど一時的にでも離れることが必要です。
まずは有給を取る、
あるいは休職を考えよう!
やりがいがなく、新しい場所で挑戦したい
仕事へのやりがいが感じられず、次にしたいことが明確な場合は転職のサインです。
行政保健師(公務員)以外の仕事を知ることで、新たにやりたいことが見つかる可能性が広がります。
・SNS
・オンラインコミュニティ
などを活用しよう!
現職を退職すると決めた時にすべきこと
現職を辞める意志が固まれば、進むべき方向性を決めます。
人に話す|家族、転職経験者、保健師の先生
家族や転職経験者など、信頼できる人に退職の意思を話してみましょう。
- 家族
- 転職経験者
- 看護師・保健師の先生(大学、専門学校)
人に話すことで、自分の考えがさらに整理されていきます。
難しい場合は、様々な転職サイトで求人情報を見るか、転職エージェントに相談してみましょう。
話すことで、
思いもよらぬ情報が得られるかも。
看護師・保健師資格を活かすのか判断する
看護師や保健師以外の仕事も選択肢に考えます。
行政保健師の経験があれば、以下のような転職が視野に入ります。
- 民間企業(事務職など)
- ヘルスケアベンチャー
- 医療系ライター
上記以外でも未経験で異業種への転職は、若いほど可能性が広がります。
転職サイトに登録する
終身雇用が崩壊している今、“いつでも転職できる”状態が重要です。
定年年齢の引き上げで生涯の労働時間が長くなるため、心身の健康を保ちながら働ける環境を探し続けましょう。
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