「保健師になりたい!」と思ったら、保健師として働ける場所を知っておきましょう。
保健師は狭き門のため、いろいろな選択肢を知っていることが重要です。
保健師って、
働く場所はいろいろあるの?
行政機関以外にもいろいろあるよ。
看護師から保健師転職を検討されている方は、「ワークライフバランス」を求めている場合が多いです。
保健師は夜勤がないことが多いので、子育てやプライベートと両立しやすいのが魅力。
保健師って採用自体が少ないよね。
保健師でなくても、ワークライフバランスの良い職場を見つけるポイントをお伝えするよ。
本記事では、「保健師資格を活かす転職先」と「保健師資格を使わない転職先」に分けて紹介します。
- 保健師資格を活用した転職先5選
- 保健師資格を使わない転職先
- 満足した転職のための判断項目
先に結果を知りたい人は、「まとめ」へジャンプしてね!
【保健師資格を活用する場合】看護師の転職先は?
「保健師になりたい」と思った時、様々な働く場所があります。
働く場所によって仕事内容は異なるので、情報収集をすることが重要です。
自分に合う転職先を見つけよう!
①行政保健師として自治体で働く
保健師といえば、行政保健師が一番に浮かぶね。
実際に保健師の中でも割合が多いよ。
保健師の54.1%が、自治体で行政保健師として働いています(令和4年度厚生労働省「保健師活動領域調査」)。
母子保健、成人保健、高齢者保健など、「ゆりかごから墓場まで」法律に則った保健活動を実施します。
地域社会の健康を支えるために多様な役割を担い、個別支援から地域全体へのアプローチまで幅広く活動しています。
行政保健師の働く場所は以下のとおりです。
自治体・所属部門 | 割合 | |
---|---|---|
都道府県 | 14.9% | |
市区町村 | 85.1% | |
本庁 | (34.9%) | |
保健所 | (13.4%) | |
市町村保健センター | (35.7%) | |
その他 | (16.0%) |
市区町村は85.1%を占め、市町村保健センターで働く保健師が多い状況です。
②準行政保健師として地域包括支援センターで働く
地域包括支援センターは、設置主体は市町村ですが、運営主体は業務委託されていることが多いです。
運営元が市町村である場合は公務員ですが、業務委託されていれば委託先の従業員になります(そのため「準行政保健師」と表記しています)。
地区毎に設置されている
イメージがあるね。
高齢者に関する地域の身近な相談窓口。
\地域包括支援センターの主な仕事内容/
1.高齢者やその家族からの相談対応
- 高齢者やその家族が抱える様々な悩みや困りごとについて、個別相談を行います。
- 相談内容に応じて、必要な情報を提供したり、関係機関への繋ぎます。
2.介護サービスや福祉サービスの利用支援
- 介護保険サービスや福祉サービスの利用に関する情報を提供し、利用を支援します。
- 具体的には、サービス事業所の選定や、サービス利用の手続きに関するサポートを行います。
3.地域住民への啓発活動
- 高齢者や障がい者に関する理解を深めるための啓発活動を行います。
- 講演会や研修会を開催したり、広報誌を作成したりします。
③産業保健師として企業で働く
産業保健師は、労働者の健康管理を行います。
成人保健に特化しており、行政保健師であっても特定保健指導の経験があればイメージしやすいと思います。
労働者の心身の健康を支える
プロフェッショナルだね。
労働者とのコミュニケーション・産業医との連携が鍵。
\産業保健師の主な仕事内容/
1.健康診断の実施・結果の分析
- 労働者に対して、定期健康診断や特別健康診断を実施します。
- 健康診断の結果を分析し、生活習慣病や精神疾患などのリスクが高い労働者を特定します。
2.健康指導
- 特定リスクが高い労働者に対して、個別健康指導を行います。
- 職場全体に対して、健康教育を実施します。
3.職場環境の改善
- 過重労働やストレスなどの労働環境問題を調査します。
- 改善に向けて、事業主や労働組合と協力します。
④病院保健師として病院や訪問看護で働く
病院保健師は、入院患者さんの健康管理や退院後の生活支援を行う専門職です。
看護師の仕事に近いね。
看護師業務を
兼務している場合もあるよ。
\病院保健師の主な仕事内容/
1.入院患者さんの健康管理
- 患者さんの病状や治療計画を把握し、健康状態や生活習慣などを個別指導します。
- 退院後の生活に向けて、食事指導や運動指導、介護指導などをを行います。
2.医療従事者との連携
- 医師、看護師、理学療法士などの医療従事者と連携し、患者さんの総合的なケアを行います。
- 患者さんの状態や治療計画に関する情報を共有し、効果的な治療につなげます。
3.地域医療機関との連携
- 患者さんの退院後の地域での生活を支援するため、地域医療機関と連携します。
- 患者さんの病状や治療計画を共有し、スムーズな退院支援を行います。
訪問看護で働く保健師は、自宅で療養している患者さんの健康管理や生活支援を行う専門職です。
地域での生活を
支えるんだね。
こちらも、看護師業務を
兼務している場合が多いよ。
\訪問看護保健師の主な仕事内容/
1.自宅での健康管理
- 患者さんの病状や生活状況を把握し、健康状態や生活習慣などを個別指導します。
- 在宅療養に必要な医療機器や介護用品の管理や指導を行います。
2.家族への支援
- 患者さんの家族に対して、介護方法や病気に関する知識などを指導します。
- 患者さんの介護負担を軽減するための相談支援を行います。
3.地域医療機関との連携
- 患者さんの主治医や訪問診療医と連携し、総合的なケアを行います。
- 患者さんの状態や治療計画に関する情報を共有し、スムーズな療養支援を行います。
⑤治験を行う保健師(看護師)として治験医療機関で働く
治験医療機関で働く保健師(看護師)は、治験と呼ばれる新薬の開発過程において、被験者の健康管理や倫理的な配慮など、重要な役割を担っています。
保健師の経験がなくても、看護師としての経験があれば対応できる場合が多いです。
一番馴染みがないね。
従来の保健師(看護師)の仕事とは
異なる特徴があるよ。
\治験保健師の主な仕事内容/
1.治験に関わる専門知識が必要
治験の計画立案から実施、分析、報告までの流れを理解する必要があります。
様々な治験デザインの種類と特徴を理解する必要があります。
2.被験者とのコミュニケーション能力が重要
被験者の不安や疑問に丁寧に答え、被験者の同意を適切に得る必要があります。
治験中に被験者に副作用などの症状が現れた場合、保健師は速やかに情報を収集し、適切な対応を取ります。
3.チームワークがより求められる
治験は、医師、薬剤師、看護師、臨床検査技師など、様々な専門職が協力して行うチームワークが必要です。保健師は、それぞれの専門職と連携し、円滑に治験を進める必要があります。
4.キャリアパス
治験医療機関で働く保健師は、経験を積むことで、治験コーディネーター(CRC)と呼ばれる専門職にキャリアアップすることもできます。
CRCは、治験の企画立案から実施、分析、報告まで、より幅広い業務を担当します。
【非保健師の場合】看護師の転職先は?
保健師の資格を使わず、転職を考える場合は次のような職業が考えられます。
保健師の仕事が合わない人は
こちらを選択しよう!
①クリニックの看護師として働く
医師の指示に基づき、患者さんの健康状態の観察・ケアなどを実施します。
保健師と比較して、対人業務が多く、医療行為を実施できる点を魅力に感じる人もいます。
日勤のみの看護師や、地域のクリニックで働くとワークライフバランスが取りやすいです。
夜勤がないから子育てと両立しやすいね。
今までの経験を活かせるから、一番ハードルが低いね。
②養護教諭として働く
保健師資格を取得していれば、本籍のある都道府県に申請することで「養護教諭Ⅱ種」を取得することができます。
養護教諭は、学校における児童・生徒の健康管理や保健指導を行う教育職となります。
カレンダー通りの出勤で働きやすそう。
子育てと両立しやすい分、
採用自体が少なく難易度は高いよ。
※「養護教諭Ⅰ種」との違い:養護教諭免許状には二種・一種・専修の3種類がありますが、どの免許状を所持していても養護教諭としての仕事内容に差や制限はありません。
※学校現場でⅡ種かⅠ種を問題にされることはありませんが、長期休暇などを利用して一種免許状に切り替える人は多くいます。
③教員看護師として大学・専門学校で働く
看護師養成課程で、教員として働くことも可能です。
大学の場合、修士課程・博士課程を持っていると有利です。
しかし、働きながら取得することで教員としてスタートすることが可能な場合も。
学生の時に見ていたから、
イメージしやすいね。
学生への対応の他に、
大学教員なら研究活動も求められるよ。
\教員の主な仕事内容/
1.講義
- 看護師養成過程における講義を担当します。
- 学生が看護師として必要な知識・スキルを身につけるために、学習支援します。
2.実習指導
- 学生が実習で必要な知識や技能を習得できるように、指導を行います。
- 看護師実習では、実習現場との連絡調整や、健康教育の指導など、現場と教育を繋ぐ役割があります。
3.個別指導
- 学生の健康相談や学習相談に応じ、個別指導を行います。
- 実習中のトラブルや疑問点の解決など、学生の悩みに寄り添った指導が求められます。
4.就職支援
- 学生の就職活動に関する相談に応じ、就職活動をサポートします。
- 看護師の就職は売り手市場ではありますが、筆記や面接の相談などを受けます。
5.研究活動
- 大学教員であれば、研究活動を行い論文執筆をします。
- 教員として大学で長く働く場合は、修士・博士の修了を求められます。
④民間企業で働く(事務職・営業職など)
看護師資格を利用しない場合の転職先も考えられます。
看護師として培った文書作成能力・ITスキルは、事務職としてそのまま活かせます。
企業で事務職として働く、オンライン秘書として在宅で働くなどが可能に。
また、様々な対象者と関係性を築いていけるコミュニケーション能力があれば、営業職として働くことも可能です。
医療行為がない分、心理的に安心して働ける人もいるね。
向き・不向きを考えて決めよう。
注意して欲しいのは、看護師免許・保健師免許を使わない分、給料は低くなりがちです。
年収の下がる転職となる上で、それを上回るメリット、あるいは後々年収が上がる見込みがある場合に考えましょう。
看護師を辞めて転職先を決めるための判断基準
看護師を辞めると決めても、すぐに行動に移すのは難しいもの。
多くの人が長い時間を掛けて、「本当に辞めて大丈夫なのか」を自問自答します。
転職は時間も体力も使う…
自分の中で転職したい理由が明確で、
納得できていることが重要!
退職理由と転職先の決め方
満足した転職のため、転職先をどのように決めればよいでしょうか?
転職経験者の社会人にアンケートを取った研究が以下になります。
転職に満足している転職者は、企業の社風や文化と合わずに退職し、社会での貢献を求め、健康で多様な働き方ができる職場へ転職している。
新井卓二, 山野美容芸術短期大学, 転職満足者の働く目的と退職・転職決定理由
~転職プロセスからみる因子分析~
研究結果より、転職満足者の「退職理由」・「転職先決定理由」は以下のようになります。
- 仕事上のストレス
- 会社・仕事の将来性・安定性が持てない
- 給与・待遇の不満
- キャリアアップ・スキルアップに繋がらない
- ワークライフバランスの調和のとれた働き方
- 仕事上のストレス(人間関係、職務適性など)
- 給与・待遇の不満
- 勤務地/就業場所
- 会社・仕事の将来性・安定性などへの期待
- キャリアアップ・スキルアップ
「健康に働き続けられる職場」を求めているんだね。
それって求人情報の
どの項目から判断できるんだろう?
会社が従業員の健康を配慮しているかどうかの判断項目
転職満足者の退職理由・転職先を決めた理由から、「会社が従業員の健康に配慮しているかどうか」という点が重要視されていることが分かります。
これらは、以下のような指標が判断項目となります。
ているかどうかの判断項目
- 労働時間の状況(残業時間など)
- 離職の状況(平均勤続年数を含む)
- 傷病による休職の状況
- 健康問題による仕事の欠勤の状況
- 定期健康診断の受診率
転職に満足している人は、
上記のような項目を判断材料にしたんだね。
求人票を見る時の指標にしたり、エージェントに聞いてみよう!
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【体験談】私が保健師を目指した理由
ここからは、私の同僚で「看護師から保健師を目指した理由」について聞いた内容を紹介します。
個人の体験談として、
読んでみてね。
【ケース1】終末期の患者さんとの出会いが保健師を目指すきっかけに
保健師Aさんは、看護師時代の終末期の患者さんとの出会いが、保健師になるきっかけになりました。
Aさんは、婦人科病棟で働く看護師。
1年目に担当したがん患者さん(入院時既にステージ4)が、余命宣告を受けました。
泣き崩れる患者さんを目の前に、Aさんはただ一緒に泣くことしかできませんでした。
「このままではいけない」
そう思い、残された時間の中でどう過ごしたいのか、ひたすら患者さんのベッドサイドに向かって、ライフレビュー(人生の振り返り、語り)をしてもらいました。
Aさんが患者さんと一緒に泣く中で感じたことは、「がんを検診で早期発見できていたら」という思い。
Aさんが予防医療に興味を持ち、保健師を目指すきっかけになりました。
病院で働いていると、
「なぜ予防できなかったの?」
と思う事例が多数あるね。
保健師の活動の基本は予防。
”病気にならない環境づくり”が日々の活動の目的だよ。
【ケース2】周産期病棟での子どもとの関わりが保健師を目指すきっかけに
保健師Bさんは、周産期病棟で働いていたことをきっかけに保健師を目指しました。
Bさんは、周産期病棟で産後すぐに退院できない子どもを看護していました。
元気になって退院する子もいれば、障害を抱えながら地域で生活することになる子も。
どんな子も本当の生活は、お家に帰ってからがスタートです。
Bさんが子どもたちとの関わりで感じたことは、「障がいのある子もない子も、その子らしい生活を送ってほしい」という強い思い。
行政保健師になって母子保健に携われれば、子どもの成長発達に尽力できると考えました。
子どもの成長発達に長く関われるのが行政保健師の魅力だね。
医療が繋いでくれた“命”を地域で見守っていくよ。
看護師から保健師になる人は、医療現場での経験もあり、とても重宝されます。
将来を考え、「夜勤があるのは辛い」「年齢を重ねると体力的に看護師はきつい」と感じることがある人は、保健師になることも視野に入れてみてはどうでしょうか。
「ずっと看護師でいることに違和感がある人」は、転職サイトに登録することで自分の需要を知ることができます。
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まとめ:転職先に困らない生涯働ける保健師(看護師)になろう
保健師・非保健師の考えられる転職先は、以下の通りです。
- 行政保健師として働く
- 地域包括支援センターで働く
- 産業保健師として働く
- 病院保健師として働く
- 治験を行う保健師として働く
- クリニック看護師
- 養護教諭
- 教員看護師
- 民間企業(事務職・営業職など)
満足した転職をするため、、「会社が従業員の健康に配慮しているかどうか」という点が重要です。
求人票などで参考にしたい指標は以下のとおりです。
ているかどうかの判断項目
- 労働時間の状況(残業時間など)
- 離職の状況(平均勤続年数を含む)
- 傷病による休職の状況
- 健康問題による仕事の欠勤の状況
- 定期健康診断の受診率
「いつでも動ける状態」が、
転職先に困らない保健師になる鍵だね。
転職サイトに登録し、
自分の市場価値を知っておこう!
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